
図書館で偶然手にとった本です。自分そっくりのアンドロイドを作って遠隔操作実験をされている研究者が書かれています。おそらく今まで誰にも読まれてないんじゃないかってくらいきれいだったので躊躇したものの、つまらなかったら返せばいいやと思って読み始めましたが、おもしろかった。
研究を通じて、私って何だろう、自分のアイデンティティってどこにあるんだろう、といった問いかけが何度もなされます。
自分が思っている自分と、他人が「この人ってこういう感じ」と思っている自分は少し違う。普段鏡で左右逆に見ている自分の顔、他人しか気づかない自分の癖。実験を通じて得た様々な気づきについての丁寧な考察が綴られています。
自分のことは自分自身がいちばんよく知っていると思っていたのに、場合によって他人の方がうまくアンドロイドを操作できたりする。自分らしく生きるとは、自分がいちばん心地よいと思うことをしていれば良いのか、はたまた自分がなりたい理想に自分を合わせていくことなのか。これまで考えもしなかったことや、答えが分かりきっていると思い込んでいたことが数多くあると気づかされます。
私は自分の内面に対して深い問いかけをするようなことはあまり好まないのですが、たぶん哲学ってこんな感じなのかな。面白いです。おすすめ。
↓電子書籍も、ありました。